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自律神経の働きと強化法

現代は1日中眠らない時代であり、ストレスが絶えない時代です。
そのため、自律神経のバランスを崩す人が多くなっています。
今回は自律神経の働きと強化法について取り上げます。


自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。
両者の働きは下の表のように、互いに拮抗し合っています。

  臓器 交感神経 副交感神経
1) 血圧 上昇 降下
2) 心臓 心拍数↑ 心拍数↓
3) 内臓の血管 収縮 拡張
4) 骨格筋の血管 拡張 収縮
5) 気管支 拡張 収縮
6) 瞳孔 散大 縮小
7) 唾液 少し分泌↑ 分泌↑
8) 消化器 働き↓ 働き↑
9) 膀胱 弛緩 収縮

一見すると、上がったり下がったりで分かりにくいが、理解の仕方にはコツがあります。

《交感神経=緊急非常のときに働く》

たとえば、敵と戦う(仕事をする)ときには・・・

1)2)血圧を上げ、心臓をドキドキさせて、酸素供給量を増す。
3)4)戦いで筋肉を動かすため、内臓へ行く血液を減らし、骨格筋の血液量を増やす。
5)呼吸がしやすいように、気管支が拡がる。
6)敵がよく見えるように、瞳孔が開く。
7)8)ゆっくりご飯など食べている暇はない。
9)トイレでゆっくりしている場合でない。

《副交感神経=休養と栄養補給のときに働く》

たとえば、戦い終えて(仕事を終わって)食事をし、寝ているときは・・・

1)2)血圧は下がり、心臓がゆっくり動いても差し支えない。
3)4)消化吸収を助けるために、内臓へ行く血液を増やして、筋肉への血液量を減らす。
5)呼吸はゆっくりでいい。
6)目を血走らせる必要もない。
7)8)消化器は最大限に働かせねばならない。
9)トイレもゆったりできる。

だから、朝起きたときは交感神経が働いていないので、誰でも血圧は低め。でも、子供は自律神経の切り替え(副交感神経→交感神経)がシャープなので、目が覚めるとすぐ活発に動きまわる。夜はアッという間に眠ってしまう。ところが、大人になるにつれてだんだんメリハリが利かなくなる。起きるときにグズグズ、寝るときもダラダラ。ましてや、低血圧症や自律神経失調症(この定義は曖昧だが・・・)になると、立ちくらみや全身倦怠感といった症状も起こりがちです。
自律神経機能を子供のときと同じように保つために、まずは自分でできることを実行しましょう。

  1. 朝風呂に入る。あるいは、乾布まさつをする。
  2. 起きたら水をたっぷり飲む。
  3. 栄養バランスを考えて、偏食をしない。
  4. 運動をして、足腰を鍛える。

著者:東 照正(大阪大学大学院医学研究科招聘教授/千里金蘭大学教授)